カリーパンの趣味備忘録

視覚から得る情報の雄弁さは計り知れない。

「劇場版 空の境界/終章」が難しかったなって話。

こんにちは、カリーパンです。
つい先日、ようやっと「空の境界」に手を付けまして、いやはや面白かったなと。特に俯瞰風景、痛覚残留、矛盾螺旋は好みドストライクだったなぁ。
そんな中一つ引っかかった作品(悪い意味ではないです)がありまして、それが「劇場版空の境界/終章」。

根強い人気のあるシリーズでかなりの量考察ブログもありますし、今更深堀りできる頭もないですが、演出面から感じたことを適当にメモ。
他作品も例として引用しますが、どの作品もネタバレには触れませんのでご安心を。



1.イマジナリーライン逸脱の意図


空の境界 終章」で最も気になったのが、イマジナリーラインを破る演出。タイトルの”境界”からも、どうも無関係じゃない気がして。
イマジナリーラインって?」という人も多いと思うので、こちらの方のブログ説明が分かりやすいのでご覧いただくか、
orita-ani.net

 「パプリカ」というアニメ作品で明確に説明が入るのでオススメです。

パプリカ [Blu-ray]

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  • 発売日: 2007/05/23
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 また、最近「半沢直樹」でも話題になった題材なのっで、興味のある方は「半沢直樹 イマジナリーライン」でTwitter検索してみても面白いかもしれません。
アニメは実写作品よりもイマジナリーラインの定義が曖昧で、演出上の意図に正解が見えない話ですので、予めご了承を(全力で予防線張るスタイル)。



2.他作品での例

・Dr. STONE

先に紹介したブログでも挙げられていた、16話アバンでの一幕。ルリが下手(左側)、千空が上手(右側)で会話が行われています。

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Dr. STONE16話より、前カット

そして会話途中でカット転換、次の瞬間二人の構図が反対に!そう、カメラが「イマジナリーラインの向こう側」に渡った。

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後カット

実際に映像だとかなり不意に見えるけど、二人のみの会話シーンだし、何より引きの絵で互いが向かい合ってることは明白なので、違和感はさほど感じない。
前カットは、後カットのバックに映っているキャラクター視点であるといえる。ここでの演出意図は、「バックのキャラクター視点(前カット)から、舞台演劇を意識させる視聴者視点(後カット)への移動」なんじゃないかなって考えてる。



Re:ゼロから始める異世界生活 2nd Season

34話にて。なんなら最新話だけど、偶然引っかかったので抜粋。
場面はスバルとエキドナの茶会。毎週視聴している人なら、この引きの絵で、スバルが下手(左側)、エキドナが上手(右側)の構図で茶を囲む光景が自然と定着していると思う。

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リゼロ34話より。安心感を感じる構図

基本上手はプラスの印象で*1、味方が上手、敵が下手に配置されやすい(あくまで印象論)ため、ここでエキドナが上手側なのはスバルの安心しきっている心理状態の表れともとれる。
で、問題のシーン。エキドナが代償を要求する場面でカメラが完全に切り替わり、左右反転。

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コップと椅子の対称性、エキドナ寄りのパラソル境界線もポイント。

本作はこの辺りの演出がとても丁寧で、スバルの手に巻かれるペトラのまじないがアップになるカットが挟まることで、ほぼ違和感を残さずイマジナリーラインの逸脱に成功している。

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袖まくりと腰当て、立体的な手の描写に人間味があってよい。

自分の考えとしては、単純に展開の方向性が転換した、つまり「エキドナ」を紐解く上で大事なシーンであることを印象付けるものだと思います。この作品は原作未読なので、点で的外れな予想となるかもしれませんが。



3.空の境界/終章でのイマジナリーラインの意味

さて本題。空の境界/終章は基本的に終始二人の会話劇で構成されているけど、かなり決定的にお話のベクトル方向が転換するシーンがある。まず基本から、幹也が上手、式が下手の構図。背景のガードレールをイマジナリーラインと捉えるとわかりやすいかも。

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風情を感じる一枚。

そして物語中盤、幹也の目を覆うように伸びる式の手、ここでイマジナリーラインの向こう側へカメラが移動。

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ここで本題。自分の理解力の問題で、作中の会話が難解すぎて演出の意図が非常に汲み取りづらい。単純に覆われていない方の幹也の顔を映すためともとれるし、今作で定義される、自己の器や対立の要素*2の曖昧な境界の暗喩ともとれるような。



4.〆

演出の意図なんてものは、究極の話制作サイドしか知りえない領域。むしろドラマCD向けともいえる構成だった「空の境界/終章」、だからこそ絵に重要な事柄が内包されていた気がしてならない。こういった難解な作品と出会った際のため、自身の創作における感受性を高めたいということが言いたかった、というところで本記事の〆とします。

 

 

©米スタジオ・Boichi/集英社Dr.STONE製作委員会

©長月達平株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会

©奈須きのこ/講談社アニプレックス・ノーツ・ufotable

*1:漫画は上手から下手に向かって目を滑らせる。また、日本語の縦書きは基本上手から。イメージはそれらに近い

*2:太極図、浮遊と飛行、殺人と殺戮…etc

自分が思う創作との向き合い方について。(自己紹介)

 皆さんこんにちは!カリーパンと申す者です。

 普段はTwitter(@animekaripan)にて主にアニメ(+α)の感想を簡潔に呟いておりますが、まさかこんな長文を書きたい、と思う日が来ようとは(笑)ブログ開設の動機等も含め、最初の記事は軽く自己紹介となります。拙い文章ではありますが、どうか肩の力を抜いてテキトーに読んでってください。

 アニメを軸に展開していきますが、別趣味もチョロっと入るかもしれません、よしなに。

 

1.アニメの沼にハマったきっかけ

 幼少期から、テレ東系列を始めとした児童向けアニメは人並みに見ておりました。ポケモンドラえもんイナズマイレブンクレヨンしんちゃん…etc。

 決定的にアニメに対する意識が強まったのは、放送当時中学生、友人に勧められて「進撃の巨人」、それも“5話”を目の当たりにした時です。

 

shingeki.tv


 というのも、勧められて「よし、見よう!」と思い立って録画したのがたまたま5話だったんですよ(笑)。視聴した方は分かると思いますが、主人公が○○られたりとかなり衝撃的な回なんですよね。「世の中にはこんなアニメがあるのか…」と、齢十二にしてとにかくいろんな事を痛感させられたものです。

 ともかく当時「進撃の巨人」に親もハマりだし、他に面白い深夜帯のアニメはないものか、と番組表をガチャガチャしていたところ、「これ面白そうじゃない?」と親の勧めで一緒の見始めた、丁度進撃の次クールに放送していた「銀の匙」。この二作から、徐々に深夜アニメの沼にハマっていった次第です。


『銀の匙 Silver Spoon』第1弾トレーラー

2.感想を書き始めたきっかけ

強いて具体的に作品を挙げるならば、「STEINS;GATE」、「ダンガンロンパシリーズ(ゲーム)」が皮切りですね。

 

ダンガンロンパ1・2 Reload - PSVita

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 中三の頃にこの二作に触れ、「この作品を好きな人と交流したい!」と思い立ち、始めたSNSが「Google+」。主に高校時代は男臭い青春の傍ら、休日に時たまアニメ映画を見ては、Google+に拙い感想を書き連ねておりました。ちなみにこの時期に触れた作品は、「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!大人帝国」や「イヴの時間」、「AKIRA」に「パーフェクトブルー」などが強く印象に残っています。

 しかし2018年末頃に、Google+のサービス終了が決定。さてどうしたものかというところ、SNS内にて「Twitterアカウントを作った」と移動を始める人がチョコチョコ現れ、自分も流れ的にアニメ用Twitterアカウントを作った次第です。

 結局経過の説明みたいになっちゃったけど、要点を抜き出すと、感想クラスタSNSに興味を持ったきっかけは「サブカルチャー好き同士、意見交流したい」ってこと。


3.主観的なアニメ感想(考察)における意識

 ここからが一番喋りたかったこと。

 感想を書く・読む上において、「正解はない」ということを大前提においています。だから自分のスタイルで自由に感想を書きたいし、そういう感想を読みたい。もちろん、誤った解釈や誤字は指摘し合える程度の空気感は必要だと思うけど。

 簡潔に感じたことを述べる人、考察を主軸とする人、批評が主軸の人、絵的な魅力・演出やキャラクターの心情に寄り添った感想を書く人、社会風刺と物語構造の縦軸関係に視点を置く人…etc。様々な着眼点があるからこそ、作品の色んな側面が可視化され、気づけることが増えていく。SNSなどを通した視聴者交流の場は、こと創作を楽しむ上において欠かせない一要素だと考えます。

 日々Twitterのフォロイーさんや目を通したブログ等に触発されて、それが一番のモチベーションになっております。自分の感想は、同じ作品でも各回ごとに全く違うテイストだったり、視点があやふやだったりすることが多いので、一貫した着眼点で感想を書ける方が羨ましかったり。

 

4.好きなアニメ

挙げだすとキリがないので、パッと思いつく作品を何作か列挙(あまり絞れなかった😢)

何作かピックアップして、簡単な雑感をば。

  • 進撃の巨人

     自分にとって、深夜アニメへの切り口を開いた決定的な作品。初見当時の自分には未知と魅力しかない作品だったなと。

     「鳥籠の中(ディストピア)」や、食物連鎖の頂点が塗り替わった世界での捕食関係は、後の作品(約束のネバーランド、東京喰種etc.)に多大な影響を与えたと思う。ここを起点にハードなバトル作風が増えたイメージ。アニメ、漫画史に残る名作ですね。

  • STEINS;GATE


    TVアニメ「STEINS;GATE」プロモーションムービーC79

     この作品も、自分の創作における意識の大半を構築した一作。今までで一番ハマった作品、と聞かれたら今作を挙げますね。
     巧みなストーリーテリングにキャラクター毎の機敏な心情の動き、何より厨二臭さすら感じるビジュアルに感銘を受けたものです。「ノベルゲー」という、自分にとっての新たな切り口を開いてくれたのもこの作品。

  • 彼方のアストラ

     最近の作品からも一つ、ということで。

     ここ最近の中で、一番「次回が楽しみ」かつ「皆さんの感想を読むのが楽しい」作品でした。叙述トリックの効いた、本格的なSF作風にはかなり感動したものです。また、「親元に帰ろうとしない子供たち」「放り出される子供たち」という構図は、どこか社会風刺を彷彿とさせるもので印象的だったのをよく覚えています 。

5.おまけ

 〇好きなゲーム作品

 ストーリー性重視の作品を列挙。

・ニューダンガンロンパ2 ・STEINS;GATE  ・CHAOS;CHILD ・沙耶の唄

Ever17 ・ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊 ・Undertale

 

 〇好きな漫画作品

 荒川弘先生、松井優征先生辺りが好きかも。

銀の匙 ・鋼の錬金術師 ・ぼくらの ・なるたる ・魔人探偵脳噛ネウロ

FAIRY TAIL ・最終兵器彼女 ・少女不十分 ・暗殺教室 ・デスノート

おやすみプンプン ・All You Need Is Kill

 

6.〆

 最後となりましたが、このブログはかなり不定期な更新になると思います。140字以上の思いを伝えたいとき、ネタバレ配慮で感想を書きづらい映画やノベルゲームのこと、適当な企画...etc

 改めてよろしくお願いします。拙い文章になるとは思いますが、どうかご贔屓にしていただければなと。ではまた次回👋