「みんなの物語」「薄明の翼」に感じたポケモンの新境地①
こんにちは、もしくは初めまして、カリーパンです。
早速ですがポケモン作品って、皆さんのイメージとして、アニメ版はサトシ、ゲーム版は自分みたいな、一人の主人公の視点を通して物語が描かれるイメージがありますよね?しかし、タイトルに挙げた二作「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」、「薄明の翼」からはどうも一味違ったオーラを感じたので、こうして掘り下げてみようと思った次第です。
ポケモン好きの方はもちろん、どちらかというと「ポケモンをあまり知らない」といった方に興味を持っていただけたらな、という思いの方が強めなので、お暇があれば是非読んでってください。
☆「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」:群像劇に感じる「バトンタッチ」
ポケットモンスター みんなの物語感想①
— カリーパン@アニメ (@animekaripan) 2020年4月6日
夏頃に放送されていたのを録画して、今更視聴
前作「キミにきめた!」である意味禁じ手ともいえるメタ演出をした湯山監督の、20年来のポケモン映画監督からのバトンタッチで初の矢嶋監督のポケモン映画作品
結論から言うと、号泣してしまった。#アニポケ pic.twitter.com/m44otls0al
今作は、前作「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」で監督を務めた湯山邦彦に代わり、矢嶋哲夫監督。というのも、20年来変更がなかった監督の初交代だったんですね。そしてそれを強く感じさせる「バトンタッチ」がありました。転機であるからこそ、ポケモンに触れてこなかった人に見てほしい一作。ネタバレ抜きで魅力を紹介。
・主人公の「芽吹き」
今作最大の特徴としてあるのが、「サトシ」を主人公に据えて伝説のポケモンと出会い問題を解決して…という従来のポケモン映画の流れをぶった切る、複数人のオリジナルキャラに焦点を当てたグランドホテル方式(群像劇調)である点。一作品としてのまとまりはあるため、オムニバス形式ではないですね。
映画の尺の中で複数の主人公格を動かすことの大変さは想像に難くないですが、それぞれのキャラクターの掘り下げが簡潔に、それでいて私たちにも一度は覚えがあるような等身大の「トラウマ」に結び付けられており、没入感が損なわれない。歩み寄れないオバサン、一歩引いてしまう少女、ホラ吹きなおじさん、奥手な少年、まだまだ世間を知らない少女。それぞれがポケモンと歩んでいく過程を描いた成長活劇に誰しもが共感し得るのではないか。
・今作におけるサトシの役割
じゃあ今作においての「サトシ」の役割は?と聞かれると、あくまでサブキャラクター的な位置と言えてしまうかもしれない。しかし今作の彼にも、明確に重要な役割がある。
ここで、「サトシリセット」という言葉を聞いたことがあるだろうか。簡単に言うと、「アニメポケットモンスター」のブランドに強く根付いた、主人公=サトシの呪いのこと。まあこの辺に関してはデメリットばかりではなく、「サトシとピカチュウ」という違う世代の間でも共通の認識に落とし込める、という利点もあるのだが。
閑話休題。以上のことを踏まえたサトシの今作の役割は、20年もの間、湯山監督が築き上げてきたサトシ像の「背中」であるといえる。まだまだ人間としては未熟であるサトシ、だがポケモンと歩んできた軌跡を背中で語る。そしてそれに感化される今作の主人公たち。バトンタッチと主人公の芽吹きがとにかく印象的でした。
・〆
ほんとは薄明の翼の魅力も紹介したかったのですが、それだけで一記事が出来上がってしまいそうな勢いなので、本記事は短めですがまた次回。
「ポケモンの数だけ、冒険がある。」一人の主人公による主観的な物語展開のみが、ポケモンの魅力ではない。ということを、本作を鑑賞し、体感していただきたい。ポケモンに触れてこなかった方にも是非おすすめです、という紹介で、今回のところは〆とします。
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
©Pokémon ©2018 ピカチュウプロジェクト